自己抑制機能について
こんにちは、公認心理師・ビリーフチェンジ心理セラピストの、宮﨑くみこです。
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・8月2日(水)【不登校・行き渋りのこども達へ】夏休み中に親や支援者ができること(~こどもの心と身体で何が起きているのか?~)
もくじ
1|自己抑制機能について
前々回の記事 ↓ ↓ ↓
の続きになりますが、今回は、こどもの発達の中の【自己抑制機能】について、考えてみたいと思います。
1‐1|社会に生きるという事は
私達人は【自分1人だけで生きていく事はできません】
コンビニでの買い物一つを見ても、そこには製品の企画、製造、輸送、販売等を通して【社会に生きる人々の関りがある】からこそ、欲しい物を欲しい時に、手に入れる事ができるわけですね。
そんな【社会】に、もしもルールや倫理が存在せずに、それぞれが自分がやりたいように生きると、一体どのような【世の中】になるのか…。
私達人間は【集団で生活する事】で、危険な生き物から身を守り、美味しい食べ物にありつけ、知恵を出し合いながら、進化してきた生き物です。太古の昔では【1人】になる事は【死】を意味する事でもありました。
産まれた時は、小さく未熟だったこどもが【日々の経験を通して】成長発達しながら様々な事を獲得していく事となりますが、それは【世の中】という【社会】の中で生きていく為の術を身に付けていく事を意味します。
1‐2|自己抑制機能とは?
自分以外の【誰か?】と関わる。
という事は、その時点で【人間関係】が生まれ、お互いの意思疎通の為には、意見や情報の交換、そして時には相手の気持ちを汲む事や思いやりが重要となります。
又、個人の成長や発展にも重要な要素とされ、例えば怒りやイライラを感じた時に、冷静になり適切な行動を取る為、自分を抑制したり、食べ物や物質への欲望を抑える為に食事制限や節約をする事等、
そのような時にも、必要となるものが【自己抑制機能】です。
1‐3|自己抑制機能の発達年齢
そして、この【自己抑制機能】は、まず【自己主張】から始まります。そして、この【自己主張】は、3歳~4歳半にかけて急激に高まり、その後は停滞・後退するそうです。(幼児期の「自己主張・実現」と「自己抑制」の発達『1988・柏木』)
【自己主張】は「こうしたい!」「あれは嫌だ!」等、こども本人の純粋で大切な意思表示ですが、先にも述べたように【世の中】という【社会】に出ると、いつでも何でもそれが通る訳ではありませんね。
保育園や幼稚園に行くと、お友達との関り等から、自分の欲求や行動を少しづつコントロール(他者との調和)する事が求められます。それが【自己抑制】の部分になり、
【自己抑制】は、男の子では3歳~6歳半までが一貫して伸び、女の子では4歳後半から6歳前半にかけて一時的に停滞・後退している。(幼児期の「自己主張・実現」と「自己抑制」の発達『1988・柏木』)
との事で、女の子の方が男の子よりも【自己抑制】が高いそうで、これは、そもそも日本の男女による社会的な背景が関係しているのではないかと、考えられるそうです。
1‐4|ある研究から見えた事
参考文献【幼児期の自己制御機能の発達】~幼稚園での子どもの特徴と親子関係~(森下正康)
上記の内容はとても興味を持ちました。
子育てをしていると、どこまでが、その子の「ありのまま」で、どこからが「ワガママ」なのか?そして、しつけとしてルールや倫理を伝える為には「我慢」が必要なのか?
我が子が他の子にすぐ手をだしたり、癇癪をおこしたりする。又は自分から意見を言えず、引っ込み思案で心配。といった事など、
この部分で、ママさん達からのご相談はとても多く、伝える事が難しく感じる部分だなぁと、いつも思っていましたが、実はこの部分こそが、とても重要な事で、それが理解しやすい研究内容となっています。
1‐5|思いやりと攻撃性について
【自己主張】+【自己抑制】=【自己抑制機能】
・自分の純粋な意見や思いを主張する【自己主張】
・自分の意見や思いが、集団の中で望まれる事と一致していない時に、自分の気持ちや感情を抑制(他者との調整)する【自己抑制】
どちらも相反する言葉のようですが、そのどちらもあって【自己抑制機能】であり、
【ワガママとありのまま】【自由と我慢】も、相反する言葉のようですが、どれも【表裏一体】で大切な事だと私は思いました。
【うちの子のありのままを大切にしたい(だから何でも受け入れる)】【我慢させるのは可哀そう】という言葉もよく聞きますが、実はどちらかの一方だけに偏り過ぎると、思い通りにならない時に癇癪をいつも起こす。という事にも繋がったり、
【ワガママ、自由は人に迷惑をかけるから絶対ダメ!】となると、自己主張ができない、引っ込み思案な子になる可能性もあります。
「思いやりのある、優しい子に育って欲しい」というのは、子育てをしているママが、よく言われる事ですが、実は【思いやり】と【自己抑制】の発達は、関連性が深い。と、研究でも結論づけられています。参考文献【幼児期の自己制御機能の発達】~幼稚園での子どもの特徴と親子関係~(森下正康)
そして【自己抑制機能】は、年齢によって変化するものですが、年長児の男子の場合【自己主張】と【自己抑制】の両方が高いこども達は【思いやりがが高く】【攻撃性が低い】との事で【自己主張】の発達も、決して思いやりを阻止するものではなく、時には促進機能を持っているのではないか?と、考えられるそうです。
1‐6|どこまで?そしてどこから?
・パパは良いと言ったけど、ママからはダメって言われた
・昨日は良かったのに、今日はダメって言われた
・自分の意見はいつでも何でも通る
・自分の意見を言うといつも否定される
このような環境だと、こどもは混乱したり、感情をコントロールできなくなったり、自分の意見が言えなくなったり【自己主張・自己抑制】の発達も上手くいきませんね。
こどもが、自分の気持ちや意見を伝えてくれた時は、【伝えてくれてありがとう】と、その子の気持ちを一旦受け入れ
「それは楽しそうだね」と共感したり「ここではそれはダメなんだよ」と、ルールや倫理を伝え、その気持ちを抑制(他者との調整)する。という、心理で言う【母性的な関り】と【父性的な関り】が必要となります。
その為には、場面によって判断は、とても難しいようですが、その家庭でよく話し合い、ルールを設け、一貫性を持つ事は大切な事かもしれませんね。
1‐7|まとめ
この研究では【親子関係】の【自己抑制】への影響も、書かれているので、是非読んで頂くと良いと思います。
いつも感じる事は、要は【バランス】です。この、バランスが難しく感じるかもしれませんが、だからこそ夫婦で話し合う事。
【ワガママは人に迷惑をかけるから絶対ダメ】【我慢はこどもが可哀そう】と思う。と、いうように、
【自己主張】=【わがまま】・【自己抑制】=【我慢】と感じる人は、きっと自分自身が幼少期に、自己主張すると怒られ、共感は無く【我慢】をしていた人かもしれません。
そこには、小さい頃の自分自身を【私はそうしてきたんだから!】又は【そんな私は可哀そう、嫌だった】と思う無意識があり、親自身が抱えている【ビリーフ】の影響も考えられます。
本当は【自己抑制】は、仲間や人とのコミュニケーションを円滑にするための【他者との調和】であり、こどもにとっても、楽しく人と関わる為の大切な能力になるのでは?と、私は思います。
そして、こどもが経験する喜びも、悲しみも、楽しみも、苦しみも、その全てが【こどもの大切な感情】で、それは人生を彩り豊かにしてくれます。
【成功・失敗】は大人が分離した心でのジャッジに過ぎず、実はただの【経験】で、良い・悪いはありませんね。
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【自己抑制機能】については、ここまでです。
では、次回又月曜日に♪