今の【しえん】はどの【し援】?
こんにちは、公認心理師・ビリーフチェンジ心理セラピストの宮﨑くみこです。
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もくじ
【しえん】には3つある
【子育てが孤育て】になっている日本。多くの若者が、将来結婚や子育てに希望を感じる事無く、どんどん少子化が進んでいる現状です。
【こども家庭庁】が今年4月からでき【子育て支援】の重要性が問われていますが、私自身も多くの方々の【しえん】に携わらせて頂いていて、常々感じている事があります。
私個人の考えですが、多くの現状を見ていて思う事は【しえん】には3つある。と思います。
3つの【しえん】
①【私援】(私がしてあげたいから)
②【支援】(相手を支える)
③【志援】(志を互いに持つ)
ここから、一つずつ私の考えをお話していきます。
1-1 私援とは
人と人との関わりの中で【お互い様】という言葉があるように、私達人間は、自分一人だけでは、生きていく事はできません。
なので困っている方が居たら【私がしてあげたいから【いいのよ~)】【(私は)誰かの役に立ちたいから】という思いで、お手伝いする事は、とっても素晴らしい事だと思います。
私自身も、自分が子育て・夫婦関係で悩み、その【経験から】困っているママさん達への【しえん】を始めました。
最初は【私がしてあげたいから】と、それは思いやりがあり、素晴らしい事だと思いますが、ただ、これだと軸は【私が】になっている為、
本当は相手が望んでいない事でも【何でも】してあげたくなってしまいます。
すると、そこに摩擦が起き【せっかくしてあげたのに】と感じたり、自分が望まない相手の反応に腹が立って【あの人には何をしてやってもダメね】と言ったり、
相談を受けたり、しえんをする事で、何だか自分まで落ち込んだり、心身が重く感じたり、人によっては【私うけやすいのよね】と、言う方もいらっしゃいますが、
是非、しえん者の方には知っておいていただきたい事があります。
1-2 何が起きているのか?
この場合【受けやすいのでは無く】その【しえん者】の方には【二次的外傷ストレス】が起きています。
これについて、公認心理師勉強会の遊先生が、本をご紹介下さっています。(二次的外傷ストレス「臨床家・研究者・教育者のためのセルフケア問題」)
そして【二次的外傷ストレス】について、以下のように教えて下さっています。
第一著者Stammは以下のように述べております
「援助者であることもまたリスクを負う」すなわち、人々をケアすることで時には、相手の外傷性の体験に曝された直接の結果として苦痛を経験することもある。 トラウマに二次的に曝されることによって、援助者にそのつもりはなくても、元々のトラウマを負った人に余計な苦痛を与えてしまうこともあるだろう。 この状況はー共感疲労とも共感ストレスとも二次的外傷ストレスともいうがー苦しむ人々に力添えするときに起こる好ましくない結果であるが、 それは起こるべくして起こる、予見し得る、治療可能な、そして、防ぐことができるものである。 重要なのは、単に支援者側のメンタルヘルスだけではなく、それによって本来支援されるべきクライエントを傷つける可能性があるという点だと思います。 それはお互いにとって避けるべき事態ですよね ※「公認心理師勉強会勉強会」 遊先生 より一部抜粋 |
いかがでしょうか?実は【しえん者】の方々も、相談を受ける事で、自分が気づかないうちに、元々自分が抱えている心の未解決の問題が触発されて、それを無意識に抑えつつ接する為、
共感疲労や共感ストレス、二次的外傷ストレスを負い、この部分を【私うけやすいのよね】と言っていて、
実はそれが、知らず知らずに、ご相談者様やしえんを必要とされている方へ、余計な苦痛を与えてしまう事がある。という事実を、知っておくことは大切な事だと思います。
1-3 大切なものをはばんでしまう
なぜ?それが【余計な苦痛を与えてしまう】のか?というと、初めにも少しふれましたが、人には、誰しも【成長欲】がります。こうなれるようになりたい。あれが自分でできるようになりたい。
そして、それが実際に叶う事で【自信】へと繋がっていき【自分で何とかやってみよう!】と【自分を律し→自立】へと繋がっていきます。
この力は、本来皆が持っているものです。ただ、何らかの理由で、そう思えない、そうできないで、本来の力を発揮できていない方が【相談】という形で【しえん】が必要になりますが、でも決して、
【しえん】を必要とされている方が
【何もできない人】でも
【可哀そうな人】でも
ありません!
だけど【しえん者】さんが【(私が)この人を救ってあげたい!】【(私が)何とかしてあげたい!】と【私援】でずっと関わってしまうと、それは【自己満足】になってしまいます→(これが私援・そうしている自分が心の支えになっている)
本当は自分の力で考え、自分の力で乗り越える事ができるようなことまでやってあげてしまい、大切な【自立】への道までも奪ってしまう。という事が残念ながら起きてしまうんですね。
又、お世話をしたい人と、お世話をしてもらいたい人の構図ができてしまうと、一旦は良くなったように見えても、何度となく【しえん】が必要になり、両者共々疲弊してしまうという事態になってしまいます。
1-4 無意識の中では
実はこのような【私援】で関わっている時、心理学では、無意識ながら相談者さんや、しえんが必要な方を【何もできない人】【可哀そうな人】と自分よりも下に見ている。と、言われています。
本来人の存在や命自体、全て平等であり、上下はありません。そして、人が人を本当の意味で救う事はできないのです。なぜなら、自分を本当に救えるのは、自分自身以外いないからです。
だけど、必要な時は寄り添い、力になり、時には嫌われる覚悟で相手を信じて見守る事はできるんですね(^^)
1-5 大切な時もある
今までのお話をすると【私援】が、絶対ダメ!のように感じた方もいらっしゃるかもしれませんが、そうでは無く【しえんの入り口】の時には必要な場合もあります。
だけど、遊先生が言われるように、この部分を続ける事は、「苦しむ人々に力添えするときに起こる好ましくない結果」を招く要因になってしまうため、
「予見し得る、治療可能な、そして、防ぐことができる」もの。と言われる事なので、しえん者の方は、経験を積みながら、この部分を知り、理解しながら自分の問題に取り組む事はとても大切になっていく課題となります。
1-6 ②の【支援】とは
②の【支援】は【相手を支える】ので、相手の方の為ではありますが、支える事が主となり、業務的で、この手続きをすれば、この支援をあそこで受ければ良いでしょう。と、
一方的になりやすく、こちらも結果、相手が自らの力で自立する力まで奪ったり、関係性が不安定になりやすかったり、相談者さんや、しえんを必要とする方が、どこに行けば良いんだろう。と【支援ジプシー】になる事もあります。
でも、これも絶対ダメ!では無く、的確な支援を受ける事で、経済的不安や心理的な不安の軽減から、前に進める大切なものでもあります。
1-7 ③の【志援】とは
こちらの【志援】は、より良く生きる為に、志を互いに持ち、相手の成長を応援します。
そして【しえん者】は、自分が元々抱えているトラウマ等の問題に向き合い、解消しながら、
相談者さんや、しえんが必要な方へ、無意識に【余計な苦痛を与えてしまわない】ように訓練し、相手を信頼しながら、時にはすぐに伝わらない時もあるかもしれないけど、
相談者さんや、しえんが必要な方の自立やより良い生き方へ進む志を持って関わります。
揺らぎない信用する力が在る時、人は成長し、自立を果たす事ができる。と、私は信じています。
1-8 ①②③全てが大切
以上、この3つのどれが良くて悪い。又はこれが一番なんて事は、ありません。
ただ、場面によってどれが必要で、自分が今どの【しえん】をしているのか?が、理解できている事はとても大切な事だと思います。
そして、人によって、この部分が得意!というのもあると思います。だからこそ【しえん】は1人で抱えてする事ではなく、適材適所【しえん】に携わる人同士の連携やチームは大切なんだろうな。と、感じています。
私は今信頼できる方々に沢山巡り合えていて、本当にいつも感謝しています。地元唐津はここでは紹介しきれない程、本当に素敵な人がとっても多いんです!
以上の【3つのしえん】は、私が大切に感じて実践している事ですが、私自身まだまだできない時もあるんですよ😂だからこそ、その部分に向き合いながら今のお仕事をさせて頂いています。
そしてこれからは、きっと【しえん者】・【相談を受ける側】の在り方が問われていくのではないかな?と、私は感じています。
では、又月曜日に♪