2つの感覚と不安と心配
おはようございます。公認心理師・ビリーフチェンジ心理セラピストの宮﨑くみこです。
先日は2日間の連続研修という事で【唐津市役所】さんの、各部署で「相談員」をされている方々に向けて【職員研修】をさせて頂きました😊
ご参加下さった皆様、ありがとうございました。
1-1|夢を持てない子どもたち
先日何気なく目にした記事で【将来の夢なんてない】【自分が何をしたいのか?やりたくないのかも分からない】という子がとても増えている。とありました。
今の日本では、物価の高騰や子育て・老後問題等、将来に夢を抱けるような社会では無い事も大きな原因の一つではないかと思います。
だけどそればかりでは無い。とも、私は感じています。
なぜなら同じ社会情勢の中でも「できるか、できないか?」は分からないけど【自分が何をしたいか】を思い描ける子が居るのも確かだから。
同じ状況(場面)なのに、夢を思い描く子もいれば、描けない子もいる。この違いは一体何だと思いますか?
1-2|大切な2つの感覚
先日の職員研修の時にもお話しましたが、私達が生まれたばかりの赤ちゃんの時、
まだまだ【感情】というものは育っていません。3回の心理学基礎講座でもお伝えしていますが、最初に持っている【感覚】は2つ。
【快】か【不快】か
お腹がギュッと【不快】な感覚を感じて(お腹が空いて)【泣く事】で、
口から温かな何か(おっぱいやミルク)が入ってきて、お腹が満たされて【快】の感覚へと変わります。
この時の【快】と【不快】を考えてみると。良いも悪いもありませんね。
なぜなら【不快】を感じる事で【泣く】という反応が起こり、周りの人に気づいてもらえる事で、
【自分の命を維持】することができる大切なおっぱいやミルクを得る事ができるからです。
だけど、もしも【不快な感覚】を、自分で感じる事ができなかったら…。それは周りから気づいてもらうことができなくなってしまいます。
と、いうことは【快】そして【不快】も、私達は生きていく為にはとても大切な【感覚】なので、
生まれたばかりの赤ちゃんには既に備わっている。とも言えます。
この2つの感覚を繰り返し感じる事で、自分の内側で感じる(内受容感覚)
【良い感じ・嫌な感じ】
【心地よい感じ・心地悪い感じ】
が更に【育まれて】いき、
それが後に、
【私はこれが好き・これが嫌い】
【私はこれがやりたい・やりたくない】
というような、自分自身の【アイデンティティ】を創っていくことに繋がっていきます。
【アイデンティティ】とは
他とははっきり区別される、1人の人間の個性。また、自分がそのような独自性を持った、ほかならぬ【自分である】という確信。自我同一性。(※コトバンクより) |
私達人間は【不快】を感じられるから【快】がわかる。【快】を感じられるから【不快】が分かるものなのです。
なので【快と不快】どちらの感覚も【感じる経験・感じる必要性】があるという事なんですね。
1-3|こども達の変化
私達は毎年、小学校・保育園・幼稚園に訪問し【ポニーふれ合い教室】をしています。
大人気のチャロ君と一緒に【引き馬体験】と、乗せてくれたお礼で【人参をあげる体験】を、こども達がしてくれるのですが、この活動も毎年続けて約10年程。
毎年1000人を超えるこども達に会う機会を頂いている中で、顕著にこども達の変化を肌で感じています。
ここ数年は「怖いのかな?」(首をかしげる)「嫌なのかな?」(首をかしげる)「乗りたい?」(首をかしげる)というように【固まって何も答えられない】という子が増えてきました。
これは、自分がどうしたいのか?どのように感じているのか?が【感覚としてわからない】ので【自分で決める・考える】ということができず、
【どうするかを決めて欲しい】状態なのかもしれません。だけど本当は「怖い」と【身体は正直】なのでと、無言で固まってしまっているのではないか?と思います。
※「自分の意見を伝えられない」という場合もあります。
1-4|不安が前提
自分が何を感じていて、どうしたいのか?というのは、最初に話したように2つの【快と不快】という自分の内側の感覚を繰り返し経験していかないと育む事はできません。
だけど、近年では親御さん自体が【不安を多く抱えている】方が増えていて、
子どもを【見ていると自分が不安になる】ため【子どもが失敗しないように・嫌な思いをしないように】とか、
自分が幼少期に【不快・嫌な事】を多く経験した方が【自分の子どもには嫌な思いはさせたくない】という思いがあり、
子どもの先回りをして何でも「無難」に過ごせるお手伝いをされる方や(過保護)
逆に自分が幼少期に【不快・嫌な事】を多く経験したので、子どもの自由でワガママな態度が許せなく、
子どもが自分の思い通りに、我慢やいう事を聞く・頑張る事等をしないと抑えようがない程腹が立ち、
自分の親からされた事と同じように、自分の価値観で子どもに何でも口うるさく言ってしまったり(過干渉)
又は【こどもの自由やありのままを受け入れてあげないと!】と、何でも言う事を聞いて怒る事ができない親御さんも多く(過保護)
それぞれの思いには確かに、子どもに対する【愛情】が存在するのですが、実はそれが逆に子どもが【不快・嫌な感覚】【快・良い感覚】を感じるチャンス・を奪ってしまっているんですね。
以前この事について書いたブログはコチラ↓↓↓
同じ【愛情】を注ぐのであれば、子どもが2つの【経験】を【バランスよく、そしていかに体験するチャンスを見守れるか?】という所に注げることができると良いと思いませんか?
1-5|「心配」という言葉の影には
親御さんが不安を多く抱えていると、子どもも不安を多く抱える。という事は心理学ではよく知られている事です。
親御さんは、お子さんの先回りをして嫌な思いや失敗を回避させる事で自分の不安を解消することができるかもしれません。
又は自分の怒りを子どもにぶつけることで、その瞬間はスッキリするかもしれません。
しかも、【こどもの事が、将来が心配で】【こどもの為に】という言葉を使えば、その原因はまるで【子ども】で、それを気遣う親。のように映ることができます。
しかし、全てではありませんが親御さん自身も気づいていない本当の所は【親御さん自身が抱えている不安】に過ぎないのかもしれません。
そして、子どもの場合【失敗】や【これをして嫌だった】という経験が無くなる・又は沢山感じているので、過剰に失敗や嫌な思いを避けたくなります。すると【何か分からないけど不安】という、
本人もこれと言って分からない【漠然とした不安な感覚】の状態になる場合も多いのです。
そのような感覚で学校へ行ったり、友達との交流をする事はとてもハードルが高くなってしまうのも分かりますますよね。
なぜなら、学校や友達との交流とは、自分の思い通りにならない【不快】な事や【嫌な経験】も必然的に体験する場。だからです。
そりゃあ「怖い」ですよね😭
【私はこんなに子どもの為にしてあげてるのに】と思っているけど、子どもさんの事で悩んでいる親御さんは、実はとても多いのが現状なのです。
この事については、以前もブログに書いているので読んでみて下さい。↓↓↓
1-6|できることは?
では、どうしたら良いのでしょうか?
それにはまず親御さん自身の【不安】を、全て無くす必要はありませんが減らす事が大切です。
そして子どもと自分は別の存在で、自分(親)の価値観と子どもが持つ価値観は違うということを知っていけると良いと思います😊
だけど…。正直【言うは易く行うは難し】です。この部分は親御さん自身の課題として心の専門家に相談をすることで改善していくことは可能です。
すると、親御さんの中に【安心感】が増えて【きっとこの子は大丈夫】【良いことも悪いことも・成功も失敗もなく「全てはこの子の経験」だ】と、
子どもの【生きる力を信じて見守る】事ができるようになることで、応援したり、時には辛さを受け止め共感してあげたりする事が無意識にスムーズになり、
そんな、子どもの【心の安全基地】に親御さんがなった時、こどもは【自分らしく生きる術を自分なりに】身に付け【アイデンティティ】が育まれていき【自立】へと向かい始めます。
以前書いたブログにも【子どもの心の安全基地】について書いていますので、良かったら読んでみて下さいね。↓↓↓
【心配や不安な感覚】を子どもに渡すのではなく【安心や安全な感覚】を渡し、子ども自身が本来持っている、あらゆる【生き抜く力】を信じてあげたいものですね😊
すると、子どもも【親が期待する本当の自分じゃない】【自己不全感を抱えた人生】を送るのではなく、
自分のやりたい事を見つけ、将来に夢や希望を描けるような生き生きとした人生を過ごせるのかもしれませんね😊
今回は気になった記事の事で感じた事を書いてみました。
では、又月曜日に♪