相手を思い通りにしたい
おはようございます。公認心理師・ビリーフチェンジ心理セラピストの宮﨑くみこです。
もくじ
1-1|叶わない欲求
私達は日常の中で、気づかないうちに【他者を思い通りにしたい】という欲求を抱いてしまいます。
「もっと優しくして欲しい」「気を利かせて欲しい」「反応して欲しい」「もっと頑張って欲しい」そんな小さな願いの積み重ねです。
だけど、現実はどれほど願っても、相手はその通りには動いてくれません。

子どもが小さい頃は「しつけ」や「あなたのため」という理由で「自分の思い通り」にコントロールすることが可能に思えているかもしれませんが、
思春期にもなると、自分の「意思」を持った子どもをコントロールすることなんて【不可能】だ。という事を思い知らされますよね。
もちろん、私も4人の息子を育てる中で、沢山思い知らされました😂
1-2|変えられるものと変えられないもの
ストア哲学(ストア派)はこう語ります。
「自分の力で変えられるもの」と「変えられないもの」を見極めよ
他者の感情や行動は、自分の力ではどうすることもできない領域です。「変えられないもの」を「変えよう」とする苦しみから自由になるには、
前回の記事で書いたように【尊重】が大切です。
一方で、心理学では「自分の内側はどうだろうか?」と。と考えます。
例えば他者に「怒り」を感じた時。その感情に巻き込まれるのか?それともその感情を観察して、自分の反応を選択するのか?その選択の主体は自分自身です。
つまり、相手を「思い通り」にすることはできなくても、自分の感じ方や反応・選択は「思い通り」に本来ならできる部分なんですね。

だけど、そうは言っても「意識」だけでそれをしようとしても、とても難しいのも事実。
その為に、目には見えない「心の状態」「身体のとっさな反射・反応」を理解していくことができるのが【心理学という「学問」】なんです。
1-3|自分と向き合うとは戦い?
そして、その学問を通して、よく言われるのが【自分と向き合う】ということです。
だけど【自分と向き合う】って苦しいことばかり。と、思っていませんか?
「もっと前向きにならないと!」
「もっと強くならないと!」
「もっと人と上手につながれる自分にならないと!」
「今の自分はダメ!変わらないと!」
そうやって一生懸命取り組んでいる人程、気づかないうちに【今の自分と戦っている】ことがあります。

【自分に向き合わないと!】【今の自分から変わらないと!】と思ったとき、それをまるで【戦い】のように感じ、
過去の失敗、弱さ、情けなさ、恥…。そんな自分と格闘して、乗り越えて、もっと【ちゃんとした自分】にならなければという姿勢になっている方も実は多い。
だけど【本当は今の自分】こそ、今まで頑張って生き抜いてきてくれた【大切な自分】なのに…。
自分が自分を「排除」しようとしてしまっている状態ですね。
1-4|私が思う「自分に向き合う」とは
でも私は【自分に向き合う】ということは、そいうことだとは思っていません。
本来【自分に向き合う】というのは【戦いでも、修行】でもなくそれは、もっと優しくて、温かい行為のはずなんです。
むしろ【自分に向き合う】とは「整えること」自分の中にある、「忘れていた大切な、純粋で、静かで、優しい感覚をもう一度取り戻すこと」のように思います。

1-5|中々向き合えないのはなぜ?
けれど、多くの人がその手前でつまづいてしまいます。それはなぜかというと、
自分の中の辛さや弱さを排除しようとしてしまうから
「怒り」「嫉妬」「不安」「落ち込み」そういった感情がわいた時【こんな感情感じたくない】【こうなる私はダメだ】と、押し込めたくなるのは「自然な反応」です。
だけど心理学では、それを【感情の抑圧】と言って、逆効果になることが知られています。
例えば「怒り」を感じる自分を否定して抑えつけると、その「怒り」は別の【無気力・過敏・自己否定】となって心と身体に現れたりします。

【排除】すればするほど感情は静まるどころか【心の奥でこじれていく】んです。
1-6|排除ではなく居場所をつくる
【今の自分はダメだ】と思ってしまう時、その奥にはもしかすると「大事にされたかった」「分かって欲しかった」という、静かな願いがあるのかもしれません。
そう思うと怒りや悲しみは【敵ではなく】心の声を知らせてくれる【メッセンジャー】だと言えるんですね。
「こんな自分、大嫌い」ではなく【今はそう感じてるんだね】【私が傍に居るよ】と、自分自身に言ってあげること。
それが「自分自身」との「信頼を取り戻すやり方」なんです。
向き合うことは、痛みに立ち向かうものではなくその奥にある【本当の思いを静かに見つけてあげること】
そうすることで気づいていくことがあります。【私は「排除」してたんだな。でも、そうする必要はなく「ここに居ていいんだ」】ということを。
【排除】しようとすればするほど心はこじれてしまいます。でも「そう感じるんだね、そう感じるあなた(私)もここに居て良いんだよ」と、
言われた瞬間心の中の痛みは少しづつ落ち着いていきます。
5月に開催した、棚田克彦先生の【運命心理学】のセミナーでも、先生は理論や意味を詳しく丁寧に話して、何度も伝えて下さいました。

【排除では上手くいかない。居場所をつくること】の大切さを。
そして、それは自分自身に対しても、私はそうなんだと思います。
自分の中にあるものを本当の意味で変えたいのならまずはそれを【排除する】のではなく【理解する】ことから。
それが、長く穏やかに生きるための、本当に優しくて確かな道かもしれません。

あなたは今、どんな自分を「いなくなって欲しい」と感じているでしょうか?
もしも、その一部にも「いてくれていいよ」と言えた時、あなたの内側に、どのような静けさが戻ってくるでしょうか?
では、又月曜日に♪
※毎週ブログには書いていない事、そして馬達の写真等も配信している、公式LINEへのご登録も是非😊

