誰かを下げる・悪者にする「陰口」は自分を守る手段

おはようございます。公認心理師・ビリーフチェンジ心理セラピストの宮﨑くみこです。

 

前回の記事~らしいよ。噂話は伝言ゲームの中にでてきた、噂話をする人の奥には

 

・自分の立場が不安

・仲間を作りたい

・自分が傷つかないように先に誰かを悪者にしてしまう

 

ということがある。という部分に「どうしてそのような感覚になるのでしょうか?」というご質問をいただきました。

 

今日はその部分を掘り下げて考えてみたいと思います。

 

1-1|「あの人が悪い」と言わずにいられない

 

職場でも学校でも、ある人が誰かの悪口を言い始める。という場面があります。

 

「〇〇さんって本当に困る・ムカつくよね」

「みんなもそう思わない?」

 

そして周囲に同意を求める

 

もしも、相手が同調すると安心し、同調してくれないと、その人も「困る・ムカつく相手」にしてしまう

 

なぜ?人はこのような行動を取るのでしょうか?単純に「性格」だから?

 

実はその背景の一つには、幼少期から積み上げられた、人間関係に関する【ビリーフ思い込み価値観信念)】が隠れていることがあります。

 

 

1-2|本当に欲しいもの

 

つい、思わず、このような行動をしてしまう方は、表面的には「仲間を作ろう」しているように見えますが、実は心理的には少し違います

 

本当に欲しいのは

 

・私はここに居ていい

・見捨てられない

・仲間外れにされない

 

という安心感なんですね。つまり一見「仲間づくり」のように感じますが本当は、もっと深く言うと【所属の不安の課題】なんです。

 

 

1-3|愛着形成との関係

 

幼少期、子どもは養育者との関係の中で

 

・私は愛される存在か

・人は信頼できる存在か

 

を学びます。これを愛着形成と呼びます。そして、養育者との間に十分安心できる関係が育つと、

 

 

・自分は大丈夫

・相手も大丈夫

・意見が違っても関係は崩れない

 

という感覚が育ちます

 

だけど【安心感が十分に育たなかった場合

 

・見捨てられるかもしれない

・嫌われるかもしれない

・仲間外れになるかもしれない

 

という不安を抱えやすくなります。すると人間関係の場はつながる場ではなく生き残る場】になってしまいます。

 

 

そう考えると、、世の中は安心安全な場所ではなく不安で危険な場所なってしまうので、必死になってしまいますね😭

 

1-4|ビリーフの形成

 

例えば子どもの頃、兄弟姉妹がいる家庭で、養育者が自分の機嫌によって態度が大きく変わることが日々続いていると、

 

・今日は優しい

・だけど昨日は冷たかった

・明日は…

 

そのような環境では、子どもは愛されるためには「親の機嫌・空気を読まなければならない】と学びます。

 

さらに、養育者が無意識ながらも兄弟姉妹のことを比較していた場合、

 

自分が愛情を得るためには、兄弟姉妹の誰かが負ける悪者にしなければならない

 

という無意識のルールが生まれることもあります。

 

更に言うとありのままの私では愛されない】【何かができている自分には価値がある。けれど、何もできていない自分には価値がないというビリーフ思い込み価値観信念が根付いていきます。

 

すると、大人になっても【自分が安全でいるためには誰かを下げる悪者にする必要があるということが繰り返されることもあります。

 

 

1-5|敵を作り仲間を確認する

 

心理学では、これを三角関係化(トライアングル)と呼ぶことがあります。

 

本来AさんとBさんの問題であるはずなのに、そこへCさんを巻き込む。

 

例えば先ほどの「〇〇さん困る・ムカつくよね」と言いながら第三者に同意を求める。すると一時的私とあなたは同じ側」という安心感が得られます

 

だけど、この安心感は長続きしません。なぜなら、これは【人とのつながり】ではなく【共通の敵】によって結ばれているからで、

 

結局その仮の仲間同士が、又陰でお互いの陰口を言ったりと、悪循環な人間関係へとつながっていきます

 

 

1-6|世代間連鎖

 

そして又、他にも理由はあります。

 

純粋無垢で生まれた子どもは、一番身近な養育者」から【人間関係を学ぶ】ということです。

 

 

例えば母親が、父親への不平不満日常的に子どもへ話していたとします。

 

・お父さんって本当にダメよね

・お母さんばっかり苦労してる

・お父さんは居ても役に立たない

等など…

 

すると日々日常的にそれを聞かされている子どもは、お母さんに愛されたい助けてあげたいので、無意識に【お母さんの味方】になります

 

 

結果母親子ども(自分)VS  父親という構図できあがります

 

そして子どもはこれを【家族カタチ】だと思い込みます

 

こうして何気ない日常から【誰かを悪者にすることで関係を維持するというパターンを学習する場合もあるんですね。

 

更に掘り下げると母親自身もまた、同じ家庭環境で育った可能性があります祖母が祖父の悪口を言い、その祖母の味方することで愛情を得ていた。かもしれません。

 

そして、そのパターン何の疑いもなく次世代の自分へと受け継がれていく…。

 

すると誰かを悪者にすることで人と結びつくという人間関係のモデルが、世代を超えて連鎖していきます。

 

 

もちろん、祖母もお母さんもそして自分自身も認識はしていませんむしろ、それが【普通のコミュニケーションだ】と思っているかもしれません。

 

1-7|投影

 

更に心理学的メカニズムとして投影というものがあります。投影とは簡単に言うと、

 

【自分の中に本当は在る「認めたくない感情や性質」他人のものとして感じてしまう心の働き】

 

です。例えば、

 

本当は自分が怒っているのになんだかあの人怒ってるよねと、相手の怒りばかり気になる

 

本当は自分が嫉妬しているのにあの人はきっと私に嫉妬してると、感じる

 

 

これは無意識なので、本人は嘘をついているわけではありません本当にそう感じている場合がほとんどなんです。

 

では、どうしてそんなことが起こるのでしょうか?それは、例えば子どもの頃

 

・人を羨むなんてはしたない

・怒るな!

 

言われ続けたとします。すると子どもは

 

・人を羨んでは、嫉妬してはいけない

・怒ってはいけない

 

と、思うようになります。だけど、人間だもの…怒りや嫉妬は自然に湧いてきますだけど心はこれは私の感情じゃないことにしよう無意識に処理します。すると、

 

・「自分の怒り」なのに「他人の怒り」に見える

・「自分の嫉妬」なのに「他人の嫉妬」に見える

 

これが投影です。

 

 

職場の場合、例えばAさんが【私は能力が低いという不安を本当は持っていた。とします。だけど、その不安を認めるのは苦しい。

 

すると、他の同僚Bさんを見るたびに、

 

・あの人は仕事ができない

・あの人には任せられない

 

ということばかりが気になります。もちろんBさんにも未熟な部分はあるかもしれません。

 

だけど、実際にはAさんが抱えている「自分はダメかもしれないという恐れが強く反応しているんですね。

 

 

また、自分の居場所不安を感じているCさん。Cさんの内側には、

 

・私は受け入れられているのだろうか?

・嫌われていないだろうか?

・仲間外れにならないか?

 

という不安があります。その不安を感じるのは苦しいので、心は【不安なのは私じゃ無い】という方向へ動きます

 

そしてあの人が問題だ!という考えが生まれることがあります。

 

 

例えば、職場に新しい人が入ってきました。すると心の奥で【自分の立場が危うくなるかも!】という不安が出てくる

 

だけど、本人もその不安には気づいてなくなぜか?新しく入ってきた人とそりがあわない。そして、

 

・あの人は協調性がない

・あの人は空気を乱している

 

という見方が強くなって周りに「ね、そう思わない?」と確認したくなります。そしてみんなが同意する安心する

 

なぜなら本当は「あの人が悪い」ことが確認されたから安心したのではなく私はグループから排除されていないということが確認できたから。なんですね。

 

ここで大事なのは投影相手に全く問題がないという意味ではありません。例えば本当に協調性がない人もいます。

 

だけど、そこで投影が起きると、その欠点に【異常に反応します

 

 

他の人は「少し気になる」程度なのに許せない!】【絶対に問題だ!と過剰になります。

 

その強い感情】の中に、自分自身が抱えている課題隠れていることがあります。

 

実は目の前の相手だけではなく、自分自身の中にある未消化の不安や傷つきの体験刺激されている可能性があるんですね。

 

1-8|愛着と投影と三角関係化・世代間連鎖

 

以上のように、このような状態を1つの視点だけで理解するのは難しいことがあります。実際には複数の心理的要因同時に起きていることが少なくありません。

 

例えば

 

①愛着不安

・見捨てられるかもしれない

・嫌われるかもしれない

という【根深い不安】がある

 

②不安を感じたくない

その苦しさを認識したくない

 

③投影

不安の原因を自分の内側ではなく、外側に見つける

 

④三角関係化

周囲を巻き込み「そう思うよね?」と味方を作ろうとする

 

⑤一時的な安心

「私は一人じゃない」と感じる

 

⑥世代間連鎖

この人間関係のカタチしか知らない

 

これを理解すると、誰かを悪者にしてしまう人の行動が、単なる意地悪や性格だけでは説明できないことが見えてきます。

 

もちろん、その行動によって傷つく人がいる以上、許容されるものではありません。

 

しかし、その背景には「見捨てられたくない」「ここに居ていいと感じたい」という切実な願いが隠れているんですね。

 

 

1-9|安心感を育てる

 

こうしたパターンを変えていくにはあの人が悪い」「誰かが間違っているという議論を続けることではなく

 

自分の内側にある【不安】に気づいていくこと。が大切になります。

 

 

・嫌われるのが怖い

・認められたい

・仲間外れになりたくない

・見捨てられたくない

 

そうした感情を否定せずに、受けとめられるようになると、人は少しずつ誰かを悪者にしなくても安心できるようになっていきます。

 

でも、それには先ずは心の仕組みを知ることそして自分の内側に気づくことからスタートです。

 

本当の意味で安心できる人間関係とは、共通の敵によって結ばれる関係ではありません

 

意見が違っても、誰かを悪者にしなくても、ありのままの自分でつながれる関係です。

 

 

そしてその安心感を育て直していくことが、世代を超えて受け継がれてきた人間関係のパターンを終わらせる第一歩になるのではないかと思います😊

 

では、又月曜日に♪

 

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